テレビ朝日は2026年8月9日、映像部分を全編生成AIで制作した30秒のテレビCMを同日放送すると発表しました。同局として初の取り組みで、サントリー食品インターナショナル「GREEN DA・KA・RA」とのコラボレーションです。生成AIを使ったのは映像で、音声・ナレーション・テロップにはAIを使用していません。
- 発表日時:2026年8月9日 6:00(日本時間)
何が起きたのか
テレビ朝日コンテンツ編成局「AIクリエイティブ・スタジオ」が、CM「楽しい夏にはGREEN DA・KA・RA」篇を制作しました。テレビ朝日の公式発表によると、制作会社はAI model株式会社、ナレーションはテレビ朝日の渡辺瑠海アナウンサーが担当しています。
CMは8月9日13:55から放送予定の「バスケットボール男子日本代表国際試合 日本×モンゴル」中継内で、テレビ朝日系列にて全国放送される予定です(一部地域を除く)。同局は、この中継以外でも放送を予定しています。
「映像フルAI」が示す範囲
今回の「フルAI」はCM全体の自動生成を意味するものではありません。公式発表で生成AIの使用が確認できるのは映像部分です。テロップなどの文字、音声、ナレーションにはAIを使用していないと明記されています。
つまり、生成映像と従来の音声制作・ナレーション・文字情報を組み合わせた制作です。生成AIを制作工程へ導入する際は、「どの要素にAIを使ったか」を区分して伝えることが重要になります。
確定事項と未確定事項
公式発表で確定していること
- 30秒CMの映像部分を全編生成AIで制作したこと
- テレビ朝日として初の「映像フルAIテレビコマーシャル」であること
- 音声・ナレーション・テロップにはAIを使用していないこと
- 8月9日のテレビ朝日系列中継内で放送予定であること
- 8月12日0:45放送予定の「AI大作戦」でメイキングを紹介すること(一部地域を除く)
発表時点で明らかになっていないこと
- 使用した生成AIモデルやツール
- 入力素材、プロンプト、生成・修正回数などの具体的な工程
- 権利確認や品質審査の詳細
- 従来制作と比較した費用・期間・人員への影響
- 放送画面上でのAI利用表示の有無
これらは公式発表に記載がなく、現時点では判断できません。メイキング番組などで追加説明があるか注目されます。
映像制作の現場への影響
全国ネットのテレビCMという実運用に生成映像が組み込まれた点は、広告映像の企画・制作・確認フローを考えるうえで重要な事例です。一方、今回の発表だけで、CM制作の全工程が自動化された、あるいは従来より低コスト・短納期になったとは判断できません。
テレビ朝日は2025年10月に公表したAIポリシーで、人間の判断、クリエイターの創造性と権利、透明性、説明可能性、人間による監督、プライバシー保護などを掲げています。生成AIの導入が進んでも、最終判断と説明責任を人が担う方針は制作現場でも重要です。
制作側が確認・対応したい項目
- 映像、音声、文字など、AIを使用する範囲を企画書と納品資料で分けて記録する
- 利用するモデルやサービスの商用利用条件、入力データの扱い、出力物の権利条件を確認する
- 商品、ロゴ、人物、参考画像など、入力素材に必要な許諾を整理する
- 形状、色、連続性、商品表現、誤情報、ブランドガイドラインへの適合を人が確認する
- 生成・修正・承認の履歴を残し、クライアントや媒体への説明範囲を決める
- 放送規格、考査、広告表示など、従来の納品要件を別途満たす
今後の予定
CMは8月9日に放送予定です。制作過程は8月12日0:45からテレビ朝日で放送予定の「AI大作戦」で紹介されます(一部地域を除く)。使用ツールや人の関与範囲などが公開されれば、制作フローを検討する際の判断材料が増える可能性があります。
公式一次資料
生成AIを制作フローへ組み込む別の事例は、ElevenLabs「Dubbing v2」API提供開始の記事でも紹介しています。
アイキャッチ画像:テレビ朝日公式発表(PR TIMES掲載)


