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ヤマハDM5・DM5 Compact発表|違い・11月発売・録音と拡張の注意点

ヤマハのRシリーズユーティリティI/O、DM5 Compact、DM5を左から並べた公式製品写真
画像提供:ヤマハ株式会社

ヤマハは2026年9月10日、デジタルミキシングコンソールDM5/DM5 Compactと、新しいRシリーズユーティリティI/Oを発表しました。国内では2026年11月発売、価格はオープンプライスです。DM3とDM7の間を担うシリーズとして、ライブ音響、イベント、配信、設備用途に向けた選択肢が増えます。

注目したいのは、単純な入力数の多さだけではありません。本体のアナログ端子、内部のミキシングチャンネル、Danteの伝送数、USB録音のチャンネル数はそれぞれ別です。この記事では公式発表と製品仕様をもとに、2機種の違いと導入前に確認したい条件を整理します。実機試用による音質・操作感の評価ではありません。

  • DM5は最大60モノラルch、Compactは48モノラルch。フェーダー数と本体アナログ入力数も異なります。
  • 両機種ともDanteは96kHzで64入力/64出力。一方、USBオーディオは18入力/18出力です。
  • Premium Rack用DSP、Broadcast/Theatre機能、Duganの拡張は別売構成を確認。PYカードスロットは1基です。
目次

DM5とDM5 Compactの違いを比較

項目DM5DM5 Compact
最大ミキシングch60モノラル48モノラル
本体アナログ入力/出力32入力/16出力16入力/16出力
フェーダー26本(12+1+12+1)13本(12+1)
ディスプレイ13.3型×2、4.3型×213.3型×1、4.3型×1
寸法:幅×高さ×奥行826×235×441mm446×235×441mm
質量21.5kg13.3kg

共通するのは24 Mix、12 Matrix、2 Stereoのバス構成と12 DCA、Dante 64入力/64出力、USB 18入力/18出力、1基のPYカードスロットです。Compactは小型でもバス構成を共通化していますが、最大ミキシングchや一度に触れるフェーダー数まで同じではありません。

選定では「マイクを何本つなぐか」と「同時に何本の音を操作するか」を分けて考えると整理できます。ステージ側のI/Oを使う現場なら本体の端子数だけで決めず、ネットワーク経由の入力を含めたチャンネル設計が必要です。DM5の60chは本体に60本のマイクを直結できるという意味ではなく、Dante 64入力と足して124chをミックスできるという意味でもありません。

2面の13.3型画面と26本のフェーダーを備えたヤマハDM5の操作面
DM5の操作面。画像提供:ヤマハ株式会社

グラスキーと画面で、操作の見通しをどう変えるか

DM5シリーズは13.3型タッチスクリーンと、表示内容が切り替わるグラスキーを組み合わせています。画面の角度は4段階で調整でき、ユーザーノブやDynamic Modeも用意されています。チャンネルの情報を確認しながら物理操作へ移れる構成が特徴です。

HA、Naming、Comp、FaderのAssist機能はセットアップや操作を支援するものです。任せきりで本番の安全が保証される機能と捉えず、入力ゲイン、意図しない音量変化、ミュート、送出先をリハーサルで確認してください。操作面の広さを重視するか、設置幅と搬入性を重視するかが、2機種を選ぶ大きな分岐になります。

録音ではUSB 18chとDante 64chを区別する

接続・機能公式仕様と確認点
USB TO HOSTUSB Type-C、USB 2.0、18入力/18出力。PCとのオーディオ接続に使用。
Dante96kHzで64入力/64出力。ネットワーク側の機器・PC環境を別途設計。
USB TO DEVICEType-C端子を2基装備。ファイル保存や2トラック録音・再生に対応。

たとえば多数のマイクを個別トラックで残したい場合、USBだけで全入力を録音できるとは限りません。必要な録音トラック数から経路を決め、PC側のドライバー、対応OS、サンプリング周波数、録音ソフト、ストレージの連続書き込み性能を確認します。Dante対応だからといって、PCのLAN端子をつなぐだけで録音環境が完成するわけではありません。

Nuendo LiveとVST Rack Elementsのダウンロード情報が付属し、Virtual Sound CheckやDAWリモートにも対応します。ただし、PC側のDante接続に必要なソフトウェアやライセンスまで一式付属すると解釈しないでください。録音信号をフェーダー前/後のどこから取り出すか、配信用ミックスと会場用ミックスを分けるか、録音失敗時の予備経路をどうするかも事前に決めておきたい点です。

標準機能と別売拡張:PYスロットは1基

標準のエフェクトは43種類、エフェクトラックは16スロット。チャンネル処理では4種類のEQと8種類のダイナミクスが案内されています。一方、Premium Rackの処理リソースは標準状態では0で、別売のPY-DSPにより最大32へ拡張する構成です。「DSPカードを買わないと通常のEQやエフェクトも使えない」という意味ではありません。

PYスロットにはDante、MADI、AES/EBU、MIDI/GPIなどの拡張カードや、Waves SoundGrid向けカードが用意されています。ただし本体のスロットは1基なので、PY-DSPと別のI/Oカードを同じ本体へ同時に挿す前提では組めません。必要な接続と音声処理を先に洗い出し、標準Danteや外部機器を含めた構成で見積もる必要があります。

Broadcast/Theatre機能は追加パッケージを確認

Broadcast PackageではMix Minus(ミックスマイナス)やAudio Follow Video、Theatre Packageでは4バンクのEQ/ダイナミクスやActor Libraryなどが案内されています。配信や舞台で役立つ機能でも、標準搭載と別売ライセンスを分けて確認してください。BroadcastのLoudness Meterは製品概要で将来のアップデート対応とされているため、初期状態から利用できる機能として予定に組み込まないことが重要です。

Duganは標準12ch、拡張上限は確認が必要

Dugan Automixerは標準で12chに対応し、別売ライセンスによる拡張が案内されています。ただし、拡張後の上限は公式ニュースリリース・製品概要・仕様表の間で記載に差があります。本記事では上限を断定せず、購入時に対象モデル、ファームウェア、ライセンスの組み合わせをメーカーまたは販売店へ確認することをおすすめします。複数人の会議やトークイベントでは、必要な自動ミックス数と通常のミキシングch数を分けて数えてください。

同時発表のRUioは3種類。端子を置く場所から選ぶ

機種主な構成検討する用途
RUio1608SB-Dアナログ16入力/8出力。ハンドルと保護構造を備えたステージボックス型。ステージ近くにマイク入力や返しの出力をまとめる構成。
RUio0804-Dアナログ8入力/4出力、1Uラック型。ラック内へ小規模な入出力を追加する構成。
RUio16FLX-D合計16chを2ch単位でアナログ入力・アナログ出力・AES/EBU出力に設定。入力と出力の配分を設置先に合わせたい構成。

用途欄は仕様から考えられる選定の目安です。RUio16FLX-Dは「16入力と16出力を同時に使える」という意味ではありません。各機器の入出力構成、Danteネットワーク、電源、ラック金具や配線まで含めて設計します。既存Rシリーズとの組み合わせも、本数だけでなくサンプリング周波数、ファームウェア、リモート操作の対応範囲を照合してください。

DM3・DM7との位置付けと、PC/iPad運用

ヤマハはDM5をDM3とDM7の間を埋めるシリーズと位置付けています。DM7のワークフローを継承しますが、すべての機能・接続・処理能力が同一という意味ではありません。機種をまたいで運用する場合は、チャンネル数や追加オプションの違いを含めた確認が必要です。

Windows/Mac用DM Editorではオンライン・オフライン編集や設定データの管理が可能で、DM5とDM7のファイル共用が案内されています。既存データを移す際は、対象機種で使えないチャンネルや機能を点検し、元ファイルを別名で保管したうえで確認してください。

iPad用DM StageMixやMonitorMix、ProVisionaire Control Plusなどのリモート運用も想定されています。iPad運用には外部のWi-Fiアクセスポイントを含むネットワークが必要です。会場の一般来場者向けWi-Fiへ依存するのではなく、制御用の接続と音声ネットワークの設計を確認しましょう。DM7側で新しい連携を使う場合は、対応ファームウェアも照合します。

発売は11月。購入前に確認したい7項目

国内の発売月は2026年11月、価格はオープンプライスです。公式発表には具体的な発売日や実売価格は記載されていません。本体価格だけでなく、I/O、PYカード、追加ライセンス、ネットワーク機器、ケースやラック部材を含めた総額と納期を販売店に確認してください。

  1. 入出力:本体へ直結する本数と、ステージ側からDanteで受ける本数を分ける。
  2. 操作面:本番で同時に触りたいフェーダー数、設置幅、運搬重量を確認する。
  3. 録音:必要トラック数に対してUSB 18chで足りるか、Dante経路が必要かを決める。
  4. 処理と拡張:Premium Rack、Broadcast、Theatre、Duganの必要条件とPYスロットの使用計画を確認する。
  5. 互換性:既存I/O、PCのOS、ドライバー、サンプルレート、ファームウェアを照合する。
  6. 本番の保全:設定バックアップ、予備録音、ネットワーク障害時の操作・復旧手順を準備する。
  7. 導入時期:発売月と案件の仕込み日を照合し、実機での検証・習熟期間を確保する。

DM5を選ぶ理由は操作面とローカル入力の余裕、Compactを選ぶ理由は設置幅や搬入性と、必要なチャンネル数のバランスです。どちらが上という一列の比較ではなく、自分の現場で必要な接続・送出・録音を先に図にしてから選ぶと、別売機能の見落としを減らせます。

公式情報・出典

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この記事を書いた人

梶原綾祐のアバター 梶原綾祐 株式会社OCTA CREATION

株式会社OCTA CREATION 取締役。
レコーディングエンジニアを経て、現在は映像制作・ライブストリーミングなど多岐に渡り活動中。

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