Blender 5.2 LTSを制作に使っている人は、テクスチャペイント、Pythonを使う連続レンダー、拡張機能の一括更新を優先して確認したい。Blender公式は2026年10月22日、保守版のBlender 5.2.3 LTSを公開した。未保存テクスチャの消失や特定条件でのレンダー停止など、制作データと作業の継続性に関わる修正が含まれる。
今回は新機能の紹介ではなく、現在5.2系を使う人向けの更新確認だ。納期直前に環境を一斉に切り替えるのではなく、元ファイルを残して代表的な案件で試すことを勧める。なお、公式ページに掲載されている公開日は10月22日で、公開時刻・タイムゾーンは示されていない。
Blender 5.2.3 LTSで確認したい3つの修正
1.タイムアウト処理による未保存テクスチャの消失
公式の不具合報告では、テクスチャペイント後にオブジェクトを非表示にし、時間を置いて再表示すると、未保存の描画内容が失われる現象が報告されている。5.2.3の変更履歴には、テクスチャのタイムアウト処理で未保存の作業が削除される問題の修正が掲載された。
ここで重要なのは、修正とデータ復旧を分けて考えることだ。今回の更新が、すでに失われた描画を復元するという案内ではない。テクスチャを外部画像として保存している場合は、.blendファイルだけでなく画像側の保存状態とバックアップも確認したい。
2.render_statsを使うアニメーションレンダーの停止
レンダー統計を受け取るPythonのハンドラー「bpy.app.handlers.render_stats」を利用した際に、レンダリング処理が止まる問題も修正対象だ。公式報告では、5.2.2 LTSでアニメーションをレンダーする条件で再現が確認されている。
自作スクリプトや自動処理で進捗・統計を扱う現場では、静止画1枚が出力できたかだけで判断せず、短い連番を最後まで出力できるか確認するとよい。これは特定のハンドラーに関する修正であり、あらゆるレンダー停止やGPUの不具合が解消したという意味ではない。
3.拡張機能の「Update All」で別の依存ファイルが消える問題
拡張機能を一括更新する「Update All」が、更新対象ではない拡張機能のwheel依存ファイルを削除する問題も修正された。wheelはPythonの配布形式のひとつで、拡張機能が動くために必要な部品として使われる。
更新したものとは別の拡張機能に影響する点が、この問題の注意点だ。制作で使う拡張機能を複数入れている場合は、更新後に普段使う機能をひと通り試し、起動時や実行時のエラーがないか確認したい。
5.2系の保守更新。新機能を試すベータ版とは別に考える
BlenderのLTSは、長期利用を想定した保守系列だ。公式の説明では、新機能やAPI変更を加えず、重要な不具合修正を中心に提供する。5.2 LTSのサポートは2028年7月まで予定されている。
5.2.3の変更履歴には、上記以外にもCyclesのクラッシュ、UDIMテクスチャを使う特定のマテリアルのglTF書き出し、スクリプトからの音声レンダーなどの修正がある。自分の案件で使う処理が含まれるか、公式の5.2 LTSページで「5.2.3 LTS」の変更一覧を確認しよう。
一方、4.5 LTSも公式のLTS一覧に掲載されている。4.5系で進行中の案件を、今回のニュースだけを理由に5.2系へ移行する必要があるという発表ではない。まず使用中の系列と拡張機能の対応版を確認するのが出発点になる。
更新前後に確認すること
- 現行環境を記録する:Blenderの版、使用中の拡張機能、レンダーエンジン、書き出し形式を控える。
- 別名コピーを用意する:.blend、外部テクスチャ、リンクしている素材を保全し、元データを直接上書きせずに試す。
- 普段の工程を小さく再現する:テクスチャの保存・再読み込み、短い連番レンダー、拡張機能の実行、納品形式への書き出しを確認する。
- 結果を見て本番へ適用する:画像の見え方、フレーム数、音声、エラーの有無を確認し、共同作業なら利用する版をそろえる。
この確認手順は編集部の運用上の提案であり、すべての案件で互換性や動作を保証するものではない。公式に修正済みとされる事項と、自分の制作環境で検証が必要な事項を分けて判断したい。
同じ5.2系の過去の保守更新については、Blender 5.2.1 LTSのVSE・リンク資産・クラッシュ修正も参照できる。今回の5.2.3とは対象の不具合が異なるため、変更点を混同しないようにしたい。
公式情報
ロゴはBlender公式配布素材を使用。Blenderの名称・ロゴは各権利者に帰属します。本記事はBlender Foundationによる推奨・提携を示すものではありません。


