ElevenLabsは2026年9月28日、音声生成モデル「Eleven v4」と「Eleven v4 Turbo」を発表しました。音声の演技指示、複数話者の掛け合い、長尺コンテンツでの声の一貫性を強化したモデルで、動画のナレーションやキャラクターボイス、多言語向け音声制作に関わる更新です。
注目点は、単に「自然な声になる」ことだけではありません。v3から切り替えると同じ声でも聞こえ方が変わり、他言語へ展開したときのアクセントの扱いも変わります。制作途中の作品に導入する前に、表現・再現性・利用条件を分けて確認しておきたい内容です。
Eleven v4とTurboの違いは?
公式発表によると、両モデルはElevenCreative、ElevenAgents、ElevenAPIで提供を開始しています。Eleven v4は音声作品やナレーションなど品質を優先する用途、Turboは対話型コンテンツなど応答速度が重要な用途に向けたモデルです。音声を先に生成して編集する動画制作では、まず通常のv4で仕上がりを比べると判断しやすくなります。
発表では90以上の言語への対応、Professional Voice Clones(PVC)のサポート、長尺用の生成結果をつなぐ「request stitching」の改善が案内されています。Studioなどで長い文章を扱う制作にも関係します。ただし、音質向上はメーカーの説明であり、本記事で実音声の比較検証を行った結果ではありません。
会話やナレーションに「演技」を指示できる
Text to Dialogueの公式ガイドでは、発話ごとに声とテキストを指定し、角括弧の音声タグで笑い声やささやきなどの話し方を指示する方法が説明されています。映像に合わせた仮ナレーションだけでなく、会話形式の音声コンテンツやゲーム内のせりふを検討する際にも使える仕組みです。
一方、公式資料は結果にばらつきがあることも明記しています。Text to Dialogueでは、1リクエストに含む全発話のテキストを合計2,000文字以下に収めることが推奨され、同じ入力から常に同一の音声が得られるわけではありません。この目安はText to Dialogueのもので、すべての画面・APIに共通する上限ではありません。
実務では、せりふを場面単位で分け、候補を聞き比べる工程を見込むとよいでしょう。再生成の回数だけでなく、映像への尺合わせ、読み間違いの修正、採用テイクの管理まで含めて制作時間を見積もる必要があります。
v3からの移行で確認したい3つの変更
Eleven v4の公式モデルガイドには、既存の制作環境へ影響する次の点が記載されています。
- 同じクローン音声でもv3と声質が変わり得る:原音の特徴をより忠実に捉えるため、旧モデルの聞こえ方を好む場合もあると案内されています。シリーズ作品では、既存回との声のつながりを確認してください。
- 他言語では対象言語の自然なアクセントへ:参照音声と異なる言語を生成する場合、元の言語のアクセントをそのまま持ち越す挙動ではありません。キャラクター設定や外国語なまりを演出に使っている作品は、移行前の試聴が重要です。
- 従来の制御をそのまま使えない:v4の音声設定はStabilityとSimilarityで、Style・Speedスライダーはなく、SSMLにも非対応です。既存の台本や自動化処理がこれらに依存している場合は、指示方法を見直す必要があります。
また、原音に含まれるノイズやひずみ、音量のばらつきも結果へ影響します。「新モデルに変えれば録音素材の問題も消える」とは考えず、声の素材自体を点検してから比較するのが安全です。
無料で試すことと、案件で使えることは別
公式の商用利用ヘルプでは、無料プランに商用ライセンスは含まれません。有料契約中に生成したコンテンツは、必要な権利、利用規約、禁止用途ポリシー、サービス別条件を満たすことを前提に商用利用できると案内されています。後から有料契約にしても、無料期間に作った音声を自動的に商用利用できるという説明ではありません。
ベータサービスには別の制限もあるため、有料プランであることだけを確認して納品しないよう注意してください。生成に使う声や台本の権利、出演者との合意、クライアント側のAI利用条件も別に確認する必要があります。具体的な契約判断は、適用される最新規約・契約内容を確認してください。
導入前は短い台本で比較し、採用音声を保存する
- 代表的な台本で比較:固有名詞、数字、感情の変化、二人の掛け合いを含む短いサンプルを使い、旧モデルとの違いを聞く。
- 映像に合わせて確認:単体の自然さだけでなく、尺、間、音量、BGMと重ねた聞き取りやすさを確かめる。
- 採用テイクと条件を記録:モデル名、声、設定、台本、生成日、生成時の契約プランを残し、承認済みの音声ファイルを保存する。
公式は継続開発に伴ってモデルの挙動が変わり得ると説明しています。他言語アクセントの切り替え機能は研究段階で、提供時期は示されていません。今ある機能で短く検証し、未提供の機能を前提に納期や表現を約束しないことが大切です。制作全体の確認には、生成AIを制作現場で安全に使うためのチェックリストも参考にしてください。
情報確認:2026年9月30日。発表日は公式ブログの9月28日表記に基づきます(発表時刻・タイムゾーンは未確認)。公式ブログは9月29日に更新されています。機能・利用条件は変更される場合があります。アイキャッチのロゴ出典:ElevenLabs公式Brand guidelines and press kit。商標・ロゴの権利は各権利者に帰属します。


