動画の動きがカクカク見えたり、逆に残像が多すぎたりするときは、フレームレートだけでなくシャッタースピードを確認します。基本は「フレームレートの約2倍の分母」ですが、照明のフリッカーや速い動きによって調整が必要です。
この記事では、23.98p・25p・29.97p・50p・59.94pの基準値、180度シャッターの考え方、LED照明で縞が出たときの直し方を、現場で迷わない順番で整理します。
動画のシャッタースピードとは
シャッタースピードは、1フレームを記録する間にセンサーへ光を取り込む時間です。1/50秒より1/500秒の方が露光時間は短く、動きはくっきり止まります。一方、遅いシャッターでは動く部分に自然なブレが残ります。
速くすると動きが硬くなり、取り込める光も減ります。遅くすると明るくなりますが、残像が増えます。露出だけを合わせるためにシャッターを大きく動かすと、映像の動きまで変わる点が重要です。
基準は180度シャッター
映画用カメラの回転シャッターに由来する「180度シャッター」は、1フレーム期間の半分を露光する考え方です。秒数で設定するカメラでは、1 ÷(フレームレート×2)が目安になります。

フレームレート別の基準値
- 23.98p・24p:1/48秒。設定できないカメラでは1/50秒
- 25p:1/50秒
- 29.97p・30p:1/60秒
- 50p:1/100秒
- 59.94p・60p:1/120秒
これらは固定ルールではなく、自然なモーションブラーを得るための出発点です。ソニーの業務用カメラの公式ヘルプでも、シャッター角180度が選択肢として用意され、システム周波数ごとに設定可能な秒数が整理されています。
速いシャッターを使う場面
スポーツ、ダンス、激しいパン、商品が高速で動く撮影では、1/250秒や1/500秒へ速くすると、1フレームごとの形を読み取りやすくなります。編集で静止画を切り出す場合にも有効です。
ただし、通常速度で再生すると動きが細かく途切れた印象になることがあります。速いシャッターは「高画質にする設定」ではなく、動きの見え方を選ぶ表現です。必要な場面だけで使い、必ず再生して判断します。
遅いシャッターを使う場面
夜景や暗い室内で1/30秒などへ遅くすると、ISO感度を上げずに明るさを確保できます。しかし、29.97pで1/30秒にするとフレーム期間のほぼ全体を露光するため、人物の手やカメラ移動に強い残像が出ます。
インタビューのように動きが少ない場面では使える場合がありますが、歩き撮りや細かい作業の撮影では不自然になりやすいため、NDフィルター、照明、絞り、ISO感度を先に見直します。
LED照明のフリッカー対策
蛍光灯やLED照明は、人の目には連続して見えても高速で明滅しています。シャッターと明滅周期が合わないと、画面に横縞、明るさの脈動、色の変化が出ます。日本では地域により電源周波数が50Hzまたは60Hzですが、LEDの調光方式は電源周波数より高い周期で点滅することもあります。
- 本番で使う照明をすべて点灯する
- 基準のシャッタースピードで5〜10秒録画する
- モニターだけでなく録画ファイルを100%表示で確認する
- 縞があれば1/50、1/60、1/100、1/120を比較する
- 可変シャッターやECSがあれば微調整する
- 改善しない場合は照明の調光率や器具を変更する
ソニーの公式ヘルプでは、動画にも対応する可変シャッターで、モニターを見ながらフリッカーの影響を調整できると説明されています。自動補正だけに任せず、記録画像での確認が必要です。
現場で決める順番
- 納品仕様からフレームレートを決める
- 180度相当のシャッターを設定する
- 本番照明でフリッカーを確認する
- 被写体の動きをテスト撮影する
- 必要な場合だけシャッターを速く・遅くする
- 絞り、ND、ISOで最終露出を合わせる
フレームレート自体の選び方は「フレームレート混在を防ぐ撮影・編集設定」、顔の明るさを数値で確認する方法は「インタビュー撮影の露出設定」も参考になります。
まとめ
動画のシャッタースピードは、まずフレームレートの約2倍の分母を基準にします。そのうえで、速い動きを止めたいのか、暗所で光を稼ぎたいのか、照明フリッカーを避けたいのかを分けて調整します。絶対の数値はないため、本番の照明と被写体で短いテスト録画を行い、動きと縞の両方を確認してください。
参考:Sony BRC-AM7 Help Guide — Shutter、Sony ILME-FX2 Help Guide — Anti-flicker / Variable Shutter(2026年8月18日確認)


