動画撮影のシャッタースピードは、明るさだけで決める設定ではありません。フレームレートとの組み合わせで、被写体の動きに残るブレ方が変わります。
先に結論:自然な動きから始めるなら、シャッタースピードは「1 ÷(フレームレート × 2)」が基準です。24fpsなら約1/48秒、30fpsなら1/60秒、60fpsなら1/120秒です。

シャッタースピードとフレームレートの関係
フレームレートは1秒間に記録するコマ数、シャッタースピードは1コマごとに光を取り込む時間です。動画では各フレームの露光時間が長いほど動きのブレが増え、短いほど輪郭が止まって見えます。
映画撮影で使われてきた「180度シャッター」を基準にすると、露光時間は1フレームの半分です。REDの公式ガイドでは、計算式を1 ÷(フレームレート × 360 ÷ シャッター角度)としています。シャッター角度が180度なら、分母はフレームレートの約2倍になります。
フレームレート別の基準値
| フレームレート | 180度の基準 | カメラに設定がない場合 |
|---|---|---|
| 23.98 / 24fps | 約1/48秒 | 1/50秒 |
| 25fps | 1/50秒 | 1/50秒 |
| 29.97 / 30fps | 約1/60秒 | 1/60秒 |
| 50fps | 1/100秒 | 1/100秒 |
| 59.94 / 60fps | 約1/120秒 | 1/120秒 |
Sonyも動画撮影の基本として、シャッタースピードの分母をフレームレートのおよそ2倍にする考え方を紹介しています。ただし、これは絶対のルールではなく、自然な動きを得るための出発点です。
設定を変えると動きはどう見えるか
- 遅いシャッター:動きのブレが長くなり、柔らかい一方で輪郭が見えにくくなる
- 180度付近:人の動きやパンで見慣れた自然なブレになりやすい
- 速いシャッター:一瞬ごとの輪郭が明瞭になり、硬く断続的な印象が強くなる
180度ルールを外してよい場面
照明のフリッカーを避けたい
LED照明やディスプレイの明滅周期とシャッターが合わないと、横縞や明るさの変動が出ることがあります。日本では電源周波数が50Hzと60Hzに分かれますが、LEDの調光方式によっても条件が変わります。撮影場所の照明を点けた状態でテストし、フリッカーが消える値を優先してください。
スポーツや動作分析で一瞬を止めたい
フォーム確認やVFX素材など、各フレームの輪郭が重要な場合は、1/250秒や1/500秒のように速くすることがあります。自然な残像は減りますが、目的に合うなら正しい選択です。
暗い場所で光量を確保したい
シャッターを遅くすると明るくできますが、動きのブレも増えます。先に絞り、照明、ISOを検討し、ブレを許容できる場合だけシャッターを遅くします。
現場で迷わない設定手順
- 納品や再生用途からフレームレートを決める
- 180度相当のシャッタースピードを設定する
- 実際に使う照明とディスプレイを点ける
- 人物の手振りやカメラパンを短く撮る
- フリッカーと動きの見え方を確認して微調整する
- 本番中に変わらないよう設定を固定する
よくある失敗
- 明るさだけでシャッターを変える:カットごとに動きの質感が変わる
- 60fpsで撮れば必ず滑らかと思う:シャッターが速すぎると硬い印象になる
- フリッカー確認を本番後にする:編集で完全に直せない場合がある
- 24fpsを常に1/50秒と断定する:機種によって1/48秒やシャッター角度を直接設定できる
用語の違いを確認したい場合は、シャッタースピードとシャッターアングルの解説も参考にしてください。
まとめ
動画のシャッタースピードは、フレームレートの約2倍の分母から始めると整理しやすくなります。そのうえで、照明のフリッカー、被写体の速さ、演出意図を見て調整します。180度ルールは守るための決まりではなく、判断の基準として使いましょう。


