配信

OBSで配信がカクつく・止まる原因と直し方|統計で3種類のラグを切り分ける

OBSの統計画面で配信のカクつきを回線・GPU・エンコードに切り分ける記事のアイキャッチ

「OBSのプレビューは動いているのに、配信映像だけカクつく」「ゲームを起動するとコマ落ちする」「回線速度は速いはずなのに配信が止まる」——こうした症状は、原因を分けずに設定を下げても直らないことがあります。

最初に開く場所は、OBSの「表示 → 統計」です。見るべき項目は、ネットワークのドロップフレーム、レンダリングラグ、エンコードラグの3つ。どの数値が増えているかで、回線・GPU・エンコーダーのどこを直すべきか判断できます。

この記事では、実際のOBS画面を使い、配信がカクつく原因を一つずつ切り分ける手順を解説します。確認環境はOBS Studio 32.2.1/macOS、2026年8月6日時点です。Windowsでは一部の項目名や選択肢が異なりますが、診断の順番は同じです。

目次

まず結論|OBSのカクつきは3種類に分ける

「カクつく」という見た目が同じでも、OBS内部では別の場所でフレームが失われています。最初に原因の種類を決めてから、対応する設定だけを変更してください。

統計で増える項目主に疑う場所最初にすること
ドロップしたフレーム(ネットワーク)上り回線、配信サーバー、ビットレート有線接続と安定した上り速度を確認
レンダリングラグにより逃したフレームGPU、シーン、ブラウザソース、フィルターシーンを簡略化し、出力解像度・fpsを見直す
エンコードラグによりスキップされたフレーム映像エンコーダー、CPU/GPU、エンコード設定ハードウェアエンコーダーと負荷設定を確認
3項目とも増えない配信サービス、視聴者側、キャプチャー入力ローカル録画と配信サービスの状態を比較
OBS 32.2.1の統計パネルに表示されるレンダリングラグ・エンコードラグ・ネットワークのドロップフレーム
OBS 32.2.1(macOS)の「統計」。3種類のフレーム損失を別々に確認する。

理想はすべて0%ですが、起動直後やシーン切り替え時のごく少数だけで故障と決めつけないことも大切です。実際に症状が出た時間帯に、どの割合が増え続けたかを見ます。

手順1|本番と同じ負荷で症状を再現する

軽いテスト画面で正常でも、本番のシーン構成でだけ問題が出ることがあります。診断では、普段の配信に近い条件を作ります。

  • カメラ、ゲーム、資料、ブラウザソースを本番と同じ数だけ表示する
  • もっとも重いシーンを含め、実際の順番で切り替える
  • 音声と動きのある素材を使う
  • 可能なら限定公開・非公開のテスト配信を10〜20分行う
  • テスト開始前に「統計」の数値をリセットする

変更する項目は一度に1つだけにします。解像度、fps、ビットレート、エンコーダーを同時に変えると、どの変更が効いたのか分からなくなります。

原因1|ネットワークのドロップフレームが増える

「ドロップしたフレーム(ネットワーク)」が増える場合、OBSから配信サーバーまで映像を送り切れていません。OBS公式も、接続が不安定な場合や、設定したビットレートへ回線が追いつけない場合に発生すると説明しています。

最初に確認する順番

  1. Wi-Fiをやめ、可能なら有線LANで比較する
  2. 下り速度ではなく、上り速度と時間変動を確認する
  3. VPN、セキュリティソフト、混雑する共有回線の影響を外して比較する
  4. OBSの映像ビットレートを一段階下げる
  5. 配信サービス側で選べる場合は、別の配信サーバーでも試す

速度テストで一瞬だけ出た最大値を、そのまま配信ビットレートにしないでください。OBS公式は、安定した上り速度に余裕を残す出発点として、総アップロード速度の75%程度を案内しています。YouTubeも、配信全体のビットレートに対して上り帯域へ余裕を持たせるよう案内しています。

ビットレートの意味から確認したい場合は、「ビットレート」の用語解説も参考にしてください。

動的ビットレートは「応急処置」と考える

OBS 32.2.1の詳細設定で自動再接続・IPファミリー・動的ビットレートを確認する画面
OBS 32.2.1(macOS)の「設定 → 詳細設定」。自動再接続とネットワーク項目を確認する。

「輻輳を管理するためにビットレートを動的に変更する」は、回線が追いつかないときに画質を下げ、ドロップフレームを抑えるための機能です。ただし、回線不良そのものを直す機能ではありません。まず有線接続、回線経路、配信先、固定ビットレートを確認し、それでも一時的な混雑へ備える必要がある場合に比較します。

企業イベントのように停止を避けたい現場では、原因を直したうえで回線を冗長化します。考え方はモバイル回線を複数使うボンディング配信で詳しく解説しています。

原因2|レンダリングラグが増える

レンダリングラグは、OBSがシーンを1枚の映像へ合成する処理に間に合っていない状態です。カメラ、ゲームキャプチャー、テロップ、ブラウザソース、フィルターなどを重ねるほどGPU負荷が増えます。

プレビュー自体がカクつく、重いシーンへ切り替えた瞬間に数値が増える、ゲームのフレームレートを上げると悪化する場合は、レンダリング側を疑います。

効きやすい対策

  • 使っていないブラウザソース、フィルター、アニメーションを止める
  • 同じ素材を複数シーンで重複して読み込んでいないか確認する
  • ゲームや3Dアプリのフレームレート上限を設定し、GPUへ余裕を残す
  • 出力解像度を下げる
  • 60fpsが必須でなければ30fps付近で比較する
  • 外部ディスプレイや高解像度プレビューの影響も切り分ける
OBS 32.2.1の映像設定でキャンバス解像度・出力解像度・FPSを確認する画面
OBS 32.2.1(macOS)の「設定 → 映像」。キャンバス解像度、出力解像度、FPSを確認する。

最初に下げるなら、シーンの配置基準になる「基本(キャンバス)解像度」よりも、実際に配信する「出力(スケーリング)解像度」とfpsから比較すると、レイアウトを壊しにくくなります。たとえば1920×1080/60fpsが不安定なら、1920×1080/30fps、次に1280×720を同じ素材で比較します。

全体設定の考え方は、OBSの最適設定ガイド(Mac/Windows)でも整理しています。

原因3|エンコードラグが増える

エンコードラグは、合成済みの映像を配信用データへ圧縮する処理に間に合っていない状態です。ソフトウェアエンコーダーなら主にCPU、ハードウェアエンコーダーなら専用回路やGPU側の負荷を確認します。

OBS 32.2.1の出力設定で映像エンコーダー・CBR・ビットレート・キーフレーム間隔を確認する画面
OBS 32.2.1(macOS)の「設定 → 出力 → 配信」。エンコーダー、ビットレート、キーフレーム間隔を確認する。画面の数値は一例であり、配信先と回線に合わせて設定する。

直す順番

  1. 利用可能なら、Apple VT H264、NVENC、Quick Syncなどのハードウェアエンコーダーで比較する
  2. エンコーダーの品質プリセットを軽い方向へ一段階変更する
  3. 出力解像度を下げる
  4. 60fpsから30fps付近へ下げる
  5. 同時録画、仮想カメラ、不要なバックグラウンド処理を止めて比較する

ここで重要なのは、ビットレートを下げれば必ずエンコードラグが直るわけではないことです。ビットレートは主に回線負荷と画質へ影響します。エンコーダーが処理時間に間に合っていない場合は、解像度、fps、プリセット、エンコーダー方式の見直しを優先します。

また、YouTubeなど配信先が指定する映像コーデック、CBR、キーフレーム間隔、解像度別ビットレートの最新条件も確認してください。画面例の6000Kbpsを、すべての配信へそのまま当てはめるのは避けます。

「エンコード」とは何かを先に確認したい場合は、エンコードの用語解説もあわせてご覧ください。

3項目が正常なのにカクつく場合

OBSの3項目が増えていない場合は、「OBSがフレームを落としている」とは限りません。次の順番で、問題が見える場所を特定します。

  1. OBSのプレビューは滑らかか
  2. 短いローカル録画は滑らかか
  3. 配信サービスのプレビューとストリーム状態は正常か
  4. 別回線・別端末でも同じ症状が出るか
  5. キャプチャーボードから入る映像自体が途切れていないか

ローカル録画までカクつくなら、入力機器またはPC側を優先します。ローカル録画は正常で、複数の視聴環境で配信だけ止まるなら、配信先までの回線やサービス側を確認します。一人の視聴者だけで起きるなら、その端末や視聴回線の可能性もあります。

キャプチャー入力だけ不安定な場合は、USB接続、解像度、fps、バッファリングも確認します。機材側の考え方はキャプチャーボードの選び方と遅延対策で詳しく解説しています。

修正後は20分テストで確認する

数分だけ正常でも、本番時間が長くなると再発することがあります。修正後は統計をリセットし、最低でも10〜20分、本番に近い負荷をかけて確認します。

  • 最も重いシーンを表示する
  • シーン切り替えを複数回行う
  • 動きの多い映像と音声を流す
  • 統計の割合が増え続けていないか見る
  • 配信サービスのストリーム状態も確認する
  • 変更前後の設定と結果を記録する

症状が再現したテストのログを残すと、後から原因を追いやすくなります。OBSの「ヘルプ → ログファイル」から、問題が発生したセッションのログを確認してください。

次に解決する症状

まとめ|数字が増えた場所だけを直す

OBSのカクつきは、統計を開けば「回線」「レンダリング」「エンコード」のどこで起きているかを切り分けられます。

  • ネットワークのドロップフレーム → 上り回線、配信先、ビットレート
  • レンダリングラグ → GPU、シーン、ブラウザソース、解像度、fps
  • エンコードラグ → エンコーダー、プリセット、解像度、fps
  • すべて正常 → 配信サービス、視聴環境、キャプチャー入力

「とりあえず全部下げる」のではなく、同じ条件で1項目ずつ比較することが、最短で原因へたどり着く方法です。映像は滑らかでも音声だけずれる場合は、OBSの音ズレを症状別に直す診断手順へ進んでください。

参考にした公式情報

NEXT STEP

学びを、次の現場と仲間へ。

同じテーマの実践記事を深掘りするか、CREATOR’S VILLAGEのコミュニティでクリエイターとつながれます。

配信の記事を読むコミュニティを見る
OBSの統計画面で配信のカクつきを回線・GPU・エンコードに切り分ける記事のアイキャッチ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

梶原綾祐のアバター 梶原綾祐 株式会社OCTA CREATION

株式会社OCTA CREATION 取締役。
レコーディングエンジニアを経て、現在は映像制作・ライブストリーミングなど多岐に渡り活動中。

目次