ライブ配信の回線選びで重要なのは、ダウンロード速度ではなく上り速度(アップロード速度)です。ただし、速度テストで20Mbps出たからといって、20Mbpsをそのまま配信に使うのは危険です。回線は時間帯や同時通信で変動するため、配信ビットレートに加えて予備帯域を残す必要があります。
この記事では、YouTube公式の推奨値を基準に、必要な上り速度の考え方、有線LANでの測定方法、OBSなどのエンコーダーに入力する値の決め方を整理します。
結論:上り速度は配信ビットレートの約2倍を目安にする
実務では、安定して測れる上り速度の50〜60%以内に、映像・音声・監視用通信を収めると判断しやすくなります。たとえば配信ビットレートが10Mbpsなら、上り20Mbps以上を安定して確保できる回線がひとつの目安です。

YouTube公式の推奨ビットレート
YouTubeのライブ配信エンコーダー設定では、H.264配信の推奨映像ビットレートとして、1080p/60fpsは12Mbps、1080p/30fpsは10Mbps、720p/60fpsは6Mbps、720p/30fpsは4Mbpsが示されています。音声ビットレートは別に加算し、CBR、キーフレーム間隔2秒が推奨です。
| 解像度・fps | 推奨映像ビットレート | 回線の上り速度目安 |
|---|---|---|
| 720p / 30fps | 4Mbps | 8〜10Mbps以上 |
| 720p / 60fps | 6Mbps | 12〜15Mbps以上 |
| 1080p / 30fps | 10Mbps | 20Mbps以上 |
| 1080p / 60fps | 12Mbps | 24〜30Mbps以上 |
必要な回線速度を決める3ステップ
1. 本番と同じ条件で上り速度を測る
- 本番で使う回線とルーターを使う
- 可能ならWi-Fiではなく有線LANで接続する
- 本番に近い曜日・時間帯に複数回測る
- 最大値ではなく、低かった測定値を基準にする
会場回線では、来場者Wi-Fi、クラウド同期、Web会議、監視端末などが同じ帯域を使うことがあります。配信PCだけを接続した早朝の数値ではなく、本番時の混雑を想定してください。
2. 安定運用できる上限を決める
複数回の測定で最低20Mbpsだった場合、配信に割り当てる上限を12Mbps程度にすると、残り8Mbpsを回線変動や音声、監視、連絡用通信に残せます。これは絶対値ではありませんが、速度テストの最大値いっぱいに設定するより現場で調整しやすい考え方です。
3. 上限内で画質を選ぶ
安定運用上限が12Mbpsなら、1080p/30fps・10Mbpsは候補になります。一方、1080p/60fps・12Mbpsでは余裕がほとんどありません。動きが少ないセミナーなら30fpsにする、回線が弱い会場なら720pへ下げるなど、内容に合わせて解像度とfpsを選びます。
配信前に行う連続テスト
YouTube公式も、実際に配信する音声と動きに近い内容で事前テストすることを勧めています。静止画だけの短いテストでは、動きが増えたときの負荷や回線変動を確認できません。
- 限定公開またはテスト用配信を作る
- 本番と同じ映像・音声ビットレートで30分以上送出する
- エンコーダーのドロップフレーム率と回線使用量を記録する
- 配信管理画面の警告と視聴側の画質を確認する
- 問題が出たら映像ビットレートを1段階下げて再テストする
有線LANでも確認したい落とし穴
- USB-LANアダプターやハブが100Mbps接続になっていないか
- LANケーブルの損傷やコネクターの緩みがないか
- OSやクラウドストレージの同期が動いていないか
- バックアップ回線への切り替え手順を共有しているか
- 固定回線とモバイル回線が同じ通信障害の影響を受けないか
遅延設定も配信体験に影響します。回線速度とは別に、双方向性が必要な配信ではYouTubeライブの通常・低遅延・超低遅延の選び方も確認してください。
まとめ
ライブ配信の回線速度は「推奨ビットレートを満たすか」だけでなく、変動と他通信を含めて判断します。上り速度を本番条件で複数回測り、安定して出る値の50〜60%以内に配信を収め、実映像で連続テストする。この3点を押さえると、回線由来の停止や画質低下を減らせます。


